訪問介護員に必要な自立支援・重度化防止の視点
介護保険法の目的の1つにも設定されている「自立支援」ですが、2000年から始まった介護保険の中で自立支援を阻害する、いわゆる「お手伝いヘルパー」が問題視されていました。
ご利用者の「できる」ことまでも支援してしまうことで、対象者の心身機能の低下を招いてしまっていたのです。
自立支援とは
・利用者のできることを継続してもらう
・少しの工夫や手助けで、できるようになる
・自分で選んだり、決めたりできるよう支援する
・社会(家族)の中で役割を持ってもらう
「自立生活支援のための見守り援助」は身体介護に該当します
2018年通知老計第10号により「自立支援・重度化防止のための見守り援助」は身体介護と明記されました。
自立支援・重度化防止のための見守り的援助
(自立支援、ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)
○ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のための付き添い、必要に応じて介助を行う。
○認知症の高齢者がリハビリパンツやパットの交換をする際に見守り・声かけを行うことにより、1人で出来るだけ交換し後始末ができるように支援する。
○認知症の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。
○入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)。
○移動時、転倒しないように側について歩く。(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)。
○ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)。
○本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
○利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)。
○ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう、または思い出してもらうよう援助する。
○認知症の高齢者と一緒に冷蔵庫の中の整理を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
○洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防などのための見守り・声掛けを行う。
○利用者と一緒に手助けや声かけ・見守りをしながら行うベッドのシーツ交換、布団カバーの交換等。
○利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う衣類の整理・被服の補修。
○利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う調理、配膳、後片付け(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)。
○車椅子等での移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助する。
上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの。
※赤字が改正された内容です
※老計第10号とは、訪問介護に期待されている内容を具体化するために作られています。
※老計第10号で書かれていないこと以外はできないのではなく、老計第10号で記載された例示を参考に、自立支援で何ができるかを考えることが求められます。